元祖 オレオレ詐欺
フィリッピン マカテイ  1999年5月  NEW WORLD HOTEL             
週末に知人と晩飯を食べた後 ”カラオケ” に行った。
ここフィリピンは 英語が通じるので カラオケは息抜きには最高なのだ。
1時間も楽しんだ後ホテルに戻った。未だ宵の口の10時前だった。

部屋の電話が鳴った。
「ハロー 私よ」
若い女の声だった。 ホロ酔いの頭で今までいたカラオケの馴染みの「リーゼル(仮名)」だと思った。
「リーゼルか」
「そうよ、ちょっと助けて欲しいの。実はバタンガスの実家の税金を明日まで払わないと、家が取られてしまうの。5000ペソ貸してちょうだい。2日後にサラリー貰えるのでその時返せるよ。」
何だ借金か。
「OK、いつ取りにくるんだ」
「私今いけないので、従姉妹のマリーを行かせるからね。部屋の番号は?」
「2020だ」
「では30分後に従姉妹が取りにいくからね、部屋No.は2020ね」

電話を切ってほろ酔いの頭が何かおかしいと感じ始めた。
「少し声が違ったようだ。重大事なら何故本人がこられないんだ」
「部屋No.の確認の仕方がしつこかった」
酔いが段々醒めてきた。
そしてこれは罠だと悟った。 関わり合いにならないのが最善策だ。
部屋のTELにインターネットをつないでTELが通じないようにした(現在はADSLなので無関係)。
このホテルでは部外者はレセプションからのTELでの確認なしには、客室に入れないうになっているのだ。
”DON’T DISTURB” の札をドアのノブにかけ急いで部屋を出た。
近くのパブで閉店まで粘り部屋に戻った。1時過ぎだった。
その夜はTELはネットにつなぎっぱなしにしておいた。

 翌日、当のカラオケに行きリーゼルに会った。
「昨晩ホテルにTELしたか」
「電話したけど 通話中だった」
「従姉妹を金を借りによこしたか」
「エー 何の話 ????」
ということでやはり カタリ詐欺だった。
「私がそんなこと頼んだと、疑ったの」
のと 怒った。
日本で「オレオレサギ」がはやる前の話。
ひょっとすると、日本の「オレオレサギ」もここの真似かもしれない。

このようなTELは後にも先にもこれ1回だったが。

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